どんよりとした寒い日が続くと、体調を崩すことは避けられないような気がしてくるものです。
のどの痛み、関節の痛みや腫れ、鼻風邪、皮膚の乾燥、ヘルペスなど、冬になると何かと調子が悪い、という人は少なくありません。中高齢の方が簡単に取り入れられる冬を元気に過ごす方法をまとめてみましたので、参考にしてください。
まずは手洗いでウィルスから防御
冬の病気に対抗する第一の策は、きちんと手を洗うことです。
冬は呼吸器系の病気で入院する人が増える季節です。興味深いことに、病院にいても感染症にはかかります。その主な原因は、くしゃみをしたり鼻水を拭いたりした後に手を洗わない人がいるからだということです。
せき、くしゃみを介して病気がうつることは一般にも知られていますが、身体接触でも感染は広まります。挨拶のときに握手をした、あるいはドアノブに手をかけた、それだけでウイルスを拾ってしまうことはよくあります。とはいえ、冬の間中、全く人と接触せずに過ごすわけにもいきません。
ですから、正しい手洗いを徹底することが大切なのです。
手を水で濡らし、石けんをつけて20秒以上、両手を擦り合わせます。その後流水でしっかりとすすいで下さい(研究によると正しい手洗いができていない人は95%以上に上るということです)。手拭きタオルはこまめに清潔なものに取り替えましょう。
また、衛生上、手で口元に触れないようにすることが望まれます。
手で顔に触れる頻度の高い人が呼吸器系の病気になりやすいという相関性は科学的に示されています。無意識のうちに口や鼻、目に手が行ってしまうことはよくあります。だからこそ、手洗いが肝心です。
ところが中高齢になると手を洗うと皮膚に負担がかかります。手洗いを適当に済ませてしまう理由として、肌荒れを挙げる人が多いことが明らかにされています。
ハンドローションで手肌を保護
手洗いで荒れる対策として、たっぷりのハンドローションで手肌を保護しましょう。
古来、皮膚の治療に使われてきたアロエベラやシアバター、アーモンドオイル、オレンジ精油、ごま油、ローズヒップシードオイル、アボカドオイルなどの天然保湿成分や、カモミール花エキス (フラボノイド類、ルテイン、アピゲニン、ケルセチン、ビサボロール、マトリシンなどを含有) を配合したものがおすすめです。
乾燥肌には、ヒアルロン酸を含むローションやサプリメントで保湿力を高めるのも有効です。
ビタミンD補給で免疫系を高める
ビタミンDは免疫系で重要な役割を担っています。ビタミンDが欠乏すると、免疫系は本来の力を発揮できなくなります。
冬は多くの人がビタミンD不足に陥ります。それは日が短く太陽光が弱い上に、寒くて屋内にこもりがちになるからです。ビタミンDは直射日光を浴びることにより皮膚内で産生されますが、温帯域の冬の日光には、ビタミンDが作れるほどの短波長紫外線が含まれていません。
太陽から紫外線を受け取らないと、私たちの体はビタミンDを作れないのです。日光の弱い冬は大気中の紫外線も少なくなります。
このようにして生じるビタミンD不足はどのようにして解決すればよいでしょうか。
不足した分を補うにはサプリメントが便利です。高品質の天然ビタミンD3(できればビタミンK2とオメガ3脂肪酸を一緒に配合したもの)を利用するとともに、なるべく外で過ごす時間を作るようにしましょう。
お天気のよい日は屋外や自然の中で温かな日差しを楽しんで下さい。(しかも、日光とビタミンDには、冬の気分を高める作用があります。)
お日様の下でウォーキングをすると、冬の病気の予防に一石二鳥となります。運動は免疫系にとって親友のようなものです。17の試験について系統的レビューを実施した結果、運動すると免疫系が強化されるという効果が特に中高齢者に顕著に認められました。
睡眠をしっかりとる
天候のすぐれない冬の日は、布団の中で丸まっていたいという気分になるものですが、睡眠をしっかり
ととることは重要です。
それは風邪の予防にも繋がります。ある研究チームが調査したところ、睡眠時間が5、6時間程度の人と比べると、7時間以上ぐっすりと眠っている人は圧倒的に風邪を引きにくいことが明らかにされました。
これは全ての被験者の鼻に風邪のウイルスを吹き付けた上で睡眠との関連を追跡した結果です。睡眠時間の短い人は、睡眠の足りている人より4倍も高い確率で風邪を発症しました。
よく眠っている人では発症率が17%、これに対して睡眠が6時間未満の人は39%だったのです。さらに5時間未満の統計では、発症率が45%に上りました。
睡眠時間が長いことが保護能力にどのように作用しているかまでは明確になっていないものの、睡眠が不足すると慢性的な炎症が進み、免疫系の正常な機能が妨げられるためではないかという仮説が立てられています。
冬は心身に様々な課題をもたらします。健康と衛生のために推奨されている一般的な習慣を守り、この季節を元気に乗り切りましょう。