季節性情動障害(SAD)とは

季節性情動障害(SAD)とはうつ病の一形態で、日照時間の少ない時期、つまり秋と冬に生じやすい傾向があります。

それは、日光を浴びる時間が減ることで概日リズム(体内時計)に狂いが生じ、抑うつや不安を誘発するため、と考えられています。

日光が不足すると、体内のセロトニン(気分に関連する脳内物質)とメラトニン(睡眠と免疫系の機能において重要な役割を果たすホルモン)が減少します。

季節性情動障害(SAD)の対策

季節性情動障害(SAD)の対策には、晴れた日になるべく屋外で過ごすのが有効です。

医療機関によっては、日光に近い光を用いる光療法を実施している所もあります。心の内に安らぎをもたらし、季節性情動障害(SAD)の影響を軽減する方法はたくさんあります。なかでも欠かせないのは、意識的なポジティブ思考の力です。

私たちは日々の生活を通じて、様々な人や体験、状況に関わっています。そこにはポジティブなものもあれば、ネガティブなものも存在します。

そういった雑多な物事に対してどう反応するかは、私たちが思っている以上に、自力でコントロールできるものです。感情、思考、行動には複雑な相関性があります。その仕組みを理解すれば、ひとつを操作することで他の2つを変えることができるようになります。

自分の思考をチェックするマインドフルネスで対策

季節性情動障害(SAD)の症状にとらわれないようにするには、思考パターンにマインドフルネスの要素を取り入れるのがよいとされています。自分の思考をより意識的に把握すれば、それだけ日々の暮らしに引き寄せられる物事をコントロールしやすくなります。

まずは自分の思考を観察することから始めましょう。自分の思考を批判したり、ネガティブな思考を持つ自分を恥じたりしてはいけません。

私たちは社会生活の中で自己を省み気に病むことを覚えますが、ここでは自他の評価から離れて単純に観察することに集中してください。

ネガティブな感情が多いことが分かったら、思考を再構成する練習をしましょう。そして、それが習慣になるまで繰り返すのです。最初のうちは、携帯のアラーム機能を使って、定期的に自分の思考をチェックするとよいでしょう。

ネガティブな思考に気づいても、そんな自分に温かく寄り添って、思考を見つめてください。しっかりと向き合ったうえで、ポジティブな視点から見られるように誘導するのです。

新しい運動や楽器、その他一般的な習い事と同様に、練習を重ねれば、ポジティブ思考のコツもつかめてきます。思考の転換が習慣になるまで続けてください。

このスキルは季節性情動障害(SAD)の生じやすい冬の間は特に重要です。実際に始めてみると、セルフチェックと思考の転換は、鬱々とした日の多い冬ほど頻繁に必要なことが分かってきます。

アラームの頻度を増やすなり、日記をつけるなりして、観察を続けられるようにしましょう。他にも、愚痴の多い人と接する機会を減らす、瞑想を始める、といったことも有益です。

夕食や就寝前、家族で過ごすひと時に、会話のなかで感謝の気持ちを伝えたり、その日あった楽しかったこと、嬉しかったことを話題にしたりするのもおすすめです。

気持ちが軽くなり、満たされて不安や心配から開放されているときは、物事のポジティブな側面に意識が集中できている状態と言えます。

ただし、これは自分の人生の中にある望ましくない物事を無視すべきという意味ではありません。

そんな時こそしっかりと向き合って、ネガティブな要素をポジティブに転換するか、好ましくない状況に置かれても何か良いことを見出すことに力を注いでください。簡単に言うなら、物事の良い面に着目する、それだけのことです。

生きていれば望ましくないことにも遭遇します。ポジティブな展望を保つためといって、困難から目を背けてはいけません。問題は問題として認識し、何が問題なのか、それについて自分がどう感じているかをきちんと見てください。

ネガティブな感情もありのままに認識したうえで現実的に対処することが重要です。また、ネガティブをこじらせてもいけません。認識ができたらそこから離れて、次のステップに進むことにエネルギーを注ぐべきです。

多くの日光を浴びよう

意識的な転換に加えて、より多くの日光、自然光を浴びるようにするといったような、シンプルな方法も実践する価値があります。

部屋のカーテンを開き、ブラインドを上げ、可能なら朝一番に外に出て太陽の光を浴びてください。長めの散歩に出かけたり、公園でランチをとるのもおすすめです。日中は日光の入る窓辺で過ごすという方法もあります。

自宅にいる間もなるべく明るい場所にいるよう工夫してみてください。植物園を訪れ、温室のベンチで寛いでもよいでしょう。曇り空の日でも外に出て自然光に接するだけである程度の効果が期待できます。美しい緑に囲まれればなお良いでしょう。

長めの散歩は一石二鳥です

自然の光を浴びながら、体を動かせるのですから、効果があるのは不思議なことではありません。健やかな暮らしに運動が不可欠であることは広く知られていますが、精神面、情動面でも運動は非常に重要です。

マインドフルネスの導入を兼ねるという意味でも好ましい運動はヨガです。なかなかやる気が出ないという人は、夜寝る前と朝起きたときにごく簡単なストレッチを行うだけでも季節性情動障害(SAD)の症状が改善できます。

季節性情動障害(SAD)に効果のある栄養

栄養面では、オメガ3脂肪酸のような気分の高揚に関連する栄養素を確保することを心掛けてみましょう。この体に良い脂肪に気分を高める作用があることは、多くの研究で示されています。

ビタミンDもまた気分の高揚に働きかける栄養素ですが、寒く日照時間の減る時期には体内量が減少しがちです。ビタミンDは日光を浴びると体内で産生されます。

SADの傾向があるなら、ビタミンD不足にならないよう注意が必要です。医療機関によっては、冬に強い悲しみを訴える人の血液検査をしてビタミンD量を調べています。

ビタミンB-12についてはまだ明らかになっていない部分もありますが、不足状態とうつの症状に関連性があると考えられています。ビタミンB-12は免疫反応やエネルギーの増強にも役立つ栄養素です。

まとめ

季節性の抑うつ感が押し寄せてきたら、気分を高めるために自分と向き合う時間を作りましょう。

おそらくは季節が変われば改善する一時的なものと受け止めつつ、できることから始めてゆっくりと対策を進めてください。

ここで提案したことの全てを同時にこなせなくても、ひとつでもポジティブな影響の感じられるものが見つかれば、楽になるはずです。感情と思考と行動は互いに関連しあっています。

ポジティブな気持ちになることを思いながら眠りにつけば、感情面で変化が生じるでしょう。あるいは朝起きて5分間ストレッチをすることで、新しい一日に好ましい違いが出てくる可能性もあります。

思考であれ、感情や行動であれ、ちょっとした変化を起こすことに成功すれば、引き寄せられてくる物事も変わります。季節が人々の内面に困難をもたらす時期こそ、この考え方は重要です。

途方もなく大きな課題に取り組む必要はありません。ポジティブな方向へ進むのに役立つことなら、どんな小さな変化でも意味があります。