腸内細菌叢とは?

私たちの消化管の内部には、10兆とも100兆とも言われる微生物細胞がいて、複雑なコミュニティを作っています。

腸内細菌叢と総称されるこの微生物の存在は、人体の消化器系機能を正常に維持し、代謝を調節し、免疫機能を高め、肥満と戦い、全身を健康に保つ上で非常に有益な働きをしています。

一説によると、腸内細菌叢は私たちの脳にまで影響を与えているそうです。

腸内細菌叢の影響で肥満になったり痩せたりする?

健康な腸は肥満によって大きく変化します。また、体重の減少に対しても腸内細菌叢は敏感に反応します。

むしろ、人体の代謝が腸内細菌叢に影響される、と言えるでしょう。

具体的には、腸内細菌叢の健康状態によって、炎症やインスリン抵抗性、脂肪によるエネルギー貯蔵が変わってきます。この3点はいずれも肥満に関連する重要な領域です。

肥満対策として、健康的な食事とライフスタイルの改善によって健康的な腸内細菌叢を取り戻すのが望ましいことは研究でも示されています。

腸内細菌叢は脳にも影響を与える

最近では腸内細菌叢と脳の相関性が注目を集めており、脳と腸の間で相互に生化学的な信号伝達が行われているとする「脳腸相関」さらには「脳-腸-微生物相関」が提唱されています。

脳と腸を結ぶ軸には、神経内分泌系、神経免疫系、自律神経系、その他の部位も関与しているということです。腸と密接に関わっている神経系はたくさんあります。

ですから、腸内細菌叢の健康状態が悪化することで伝達系統に何らかの支障が生じ、脳機能に悪影響を及ぼすことは想像に難くありません。

相関性の発見以来、その確かさを立証する根拠は続々と発表されてきました。数多くの研究で、腸内細菌叢の健康状態を改善すると、ストレスやうつから自閉症のような遺伝性疾患に至るまで、あらゆる症状に好ましい影響があることが指摘されています。

腸内細菌叢を健康にすれば深刻な精神的症状が治るというわけにはいかないものの、脳機能への影響力とその可能性を示す証拠は、ますます多くの科学者を探求へと向かわせています。

腸内細菌叢は病気の原因の最近を死滅させる

健康的な腸内細菌叢は免疫系と助け合って不要な微生物を体から追い出すべく働いています。腸の健康に良い微生物は、生息域を広げて養分を奪うことで病原体から体を守ってくれます。

つまり、不健康な細菌を餓死させるのです。腸内細菌叢には、病気の元になる困った微生物を阻害したり殺したりする物質を分泌するものもいます

私たちは腸内細菌叢無くして食べたものを有効に活用することはできません。一部の腸内細菌は、でんぷんや食物繊維、オリゴ糖など特定の栄養素を分解するのに必要でありながら、人間の体では作れない酵素を産生しています

健康に良い好ましい腸内細菌を増やす食べ物とは?

好ましい腸内細菌を増やすには、生きた菌や酵母などのプロバイオティクスを積極的に摂取するのが有効です。善玉菌が繁栄すると、それだけ多くの資源を使います。一方、悪玉菌の利用できる資源は少なくなるので、結果的に体を健康に維持することになります。

プロバイオティクスは発酵食品に存在します。

乳製品では、生きた菌で発酵させたヨーグルトやケフィアがおすすめです。スパイシーな食べ物が好きならキムチがよいでしょう。野菜を乳酸発酵させているので、プロバイオティクスたっぷりです。

キャベツを発酵させたザワークラウトも同様です。腸のためを思うなら、菌の生きているものを選びましょう。その他、テンペ、サワーブレッド、味噌、発酵豆乳などもプロバイオティクスの豊富な食品です。

また、飲み物でプロバイオティクスを摂取することもできます。1日1杯のコンブチャ(紅茶キノコ)で腸にプロバイオティクスを安定供給している人もいます。

コンブチャはわずかに酢のような酸味と発泡性のある発酵飲料です。ロシアで愛飲されている発酵飲料、クワスを試してみてもよいでしょう。

何でもかんでも殺菌、滅菌すれば良いわけではない

現代人のライフスタイルもまた腸の健康に影響及ぼします。

必須とはいえない状況で抗生物質を何度も処方されたことはありませんか?鎮痛剤(非ステロイド性抗炎症薬)を常用している人も多いでしょう。

また、抗菌石鹸や疑似食品が普及し、農薬や除草剤の残留も珍しくなくなりました。一方では殺菌を徹底した食品も過剰なほど出回っています。こういった状況はすべて、腸内細菌叢のバランスを崩す要因になっています。

グローバル規模で社会がより高度に進化するにつれて、細菌の存在に関する人々の認識も高まり、無菌の清潔な環境を手に入れようという動向が強まってきました。

確かに、世界には適切な衛生管理ができず、有害なバクテリアやウイルスとの接触から病気や炎症に苦しむ人の絶えない地域があります。しかし、抗菌石鹸や殺菌洗剤ですべての菌を根絶しようとする先進国の文化は逆方向へ行き過ぎているかも知れません。

皆さんも、「あなたの家で最もばい菌に汚染されているもの トップ10」といったような、恐怖心をかきたてるタイトルの記事を目にしたことはあるでしょう。一読してしまったら、家全体を(食材も含めて)消毒したくなるのは仕方がありません。

菌といっても、すべてが悪者ではないということを心にとめておきましょう。

菌との共存がなければ、私たちの体は不健康な病原菌に対してもっと脆弱になってしまいます。

幅広い種類の野菜と果物とともに発酵食品を積極的に食べ、きれいな水をたっぷりと飲み、抗生物質や抗菌洗剤の使い過ぎを避けて、腸内細菌叢が繁栄できる環境を体内に整えてください。善玉菌を守ってやれば、善玉菌があなたを守ってくれます。